ピュバティ ブルー


「また青だけ?そりゃあ絵の具の節約にはなるよなぁ」



朝美のまつ毛を筆でなぞっていた松井の背後で、からかうように葵が言った。



「青以外は使わないって朝美と約束したのさ」



「ほほーっ。また、天国の恋人への忠誠美談ですか」



「茶化すなよ皆川。それよりおまえ、今日は悪友をはべらしてないんだな」



松井は筆を休めて言った。

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