聖なる光【完結】
次も悟史くんが勝った。
私はとにかくボールを触った。
きっと見つかるはずだ。
だから負けない。
同じことを五回くらい続けた。
だけど結果は一緒だった。
「悟史くん…ハア…ハア…もっかい。ハア…ハア…」黙って私達を見ていた聖矢が立ち上がった。
「光、もうやめろよ」
「やめてよ!私、勝たないとダメなの!」声を張り上げた私に驚いた聖矢。
「いや、でも…」
聖矢が心配してくれるのは分かる。
だけど、ここで引き下がれない。
「光ちゃん、」
悟史くんの声だ。
「今の光ちゃんなら1000回しても俺に勝てないよ」
ボールが落ちた。
私の手から大好きなボールが。