聖なる光【完結】

「だって光ちゃん諦めてる」
「そ、そんなこと…」
頭の中でさっきの勝負を思い出す。確実に途中で諦めてた。

「拓真もよく言ってた。あいつは途中でいつも諦めてる。諦めてるのにも気づいてない。だから最後は負けるんだって。俺が勝負してわかった。光ちゃん諦めてるよ。何で諦めるの?」

私は眉にしわをよせた。
「分からない…」
「自分の弱点分かったじゃん」聖矢がホローするように私に微笑む。

「いや、」悟史くんが聖矢の言葉を遮るように言った。

「光ちゃんが今、バスケでうまくいかないのは諦めだけじゃないよ」私は悟史くんの顔を見た。

「悟史!」聖矢が悟史くんの肩に手を添えてやめてくれというような顔をしている。

「聖矢、光ちゃんのためだぞ?いつまでこのままにさせとくんだよ」
「光は十分辛いんだよ…もう泣かせたくないんだ」
今にも壊れてしまいそうなそんな声で聖矢は囁く。

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