聖なる光【完結】

「聖矢…」やっとの思いで出せたのは彼の名前。

「聖矢な、走りすぎたんだ。拓真に勝つために。光ちゃんだけじゃない、辛いのは聖矢もだ。光ちゃんを好きになったからには俺に責任があるって」
悟史くんの言葉は私には悪魔のようなものだった。

だけど、聖矢の本当の思いが今、分かった。

「だからこそ、向き合わないといけない!!光ちゃんにはたくさんの人がいるだろ?守ってくれる人もいるじゃないか」

悟史くんは聖矢を見た。
私の目から涙が流れた。たくさんたくさん流れた…。

聖矢はいつも私に優しかった。でもその優しさは聖矢には辛かった。聖矢もいっぱい苦しかったはず。なのに私ばっかり…

そうだ、私は皆がいるって気づいたんじゃなかったの。

大事なものを私はもう一つ失おうとしてた。もう聖矢を傷つけたくない。

私が受け止めないとダメなんだ。

聖矢、ごめんね?

私、しっかり拓真の死を受け止める。

< 121 / 308 >

この作品をシェア

pagetop