聖なる光【完結】
「聖矢…」やっとの思いで出せたのは彼の名前。
「聖矢な、走りすぎたんだ。拓真に勝つために。光ちゃんだけじゃない、辛いのは聖矢もだ。光ちゃんを好きになったからには俺に責任があるって」
悟史くんの言葉は私には悪魔のようなものだった。
だけど、聖矢の本当の思いが今、分かった。
「だからこそ、向き合わないといけない!!光ちゃんにはたくさんの人がいるだろ?守ってくれる人もいるじゃないか」
悟史くんは聖矢を見た。
私の目から涙が流れた。たくさんたくさん流れた…。
聖矢はいつも私に優しかった。でもその優しさは聖矢には辛かった。聖矢もいっぱい苦しかったはず。なのに私ばっかり…
そうだ、私は皆がいるって気づいたんじゃなかったの。
大事なものを私はもう一つ失おうとしてた。もう聖矢を傷つけたくない。
私が受け止めないとダメなんだ。
聖矢、ごめんね?
私、しっかり拓真の死を受け止める。