聖なる光【完結】
昼休みも終わりに近づいてきたとき彼は私のクラスにやってきた。
「光」
聖矢は私の席の横に立って私の肩を揺らす。私は何もないかのようにお弁当を食べ続ける。
「光…」なぜか聖矢の声を聞くと涙がポロポロと溢れてくる。
美優が気付いたのかご飯をすすめる手を止めた。クラスのみんなは私たちを見ているのだろう。昨日のようにシーンとしている。
「頼むから聞いてくれよ……」涙が出ているのだろうか。聖矢の声が震えていた。
「光……」聖矢は私の席の隣でしゃがんで小さくなっていた。彼のこんな姿を見るのはきっとみんなは初めてだからびっくりしているのだろう。
私は弁当から目が離せなかった。教室には聖矢の鼻をすする音だけが響いている。
でも私はもう黙っていられなかった。
「聖矢……」私は椅子から立ち上がって聖矢の背中を擦った。
「ごめん。向こうで話そ」私は聖矢の手をとって教室を出た。聖矢の弱々しい姿。