聖なる光【完結】

私は運動場の方へ行った。もうチャイムもそろそろ鳴るだろう。でもこのままではいけない。

「わりぃ」腕で顔を隠している聖矢。

「ううん」聖矢の隣なのに落ち着かない。ほんとは今すぐこの場から離れたい。

聖矢はゆっくり話始めた。聞きたくない…聞きたくないよ、聖矢。

「ごめん、言わなくて。大事なことなのに俺はずっと光に隠してた。」

「うん」
また涙が出てきそう。

聖矢、ずっと一緒だよね?当たり前だって言ってよ。

「俺、高校卒業したらアメリカ行くことなった」

秋の風が私たちの前を通りすぎていくように吹いた。生暖かい微妙な風。それが妙に気持ち悪かった。

こんなときに限って今までの二人の思い出が頭でリピートされる。

嫌だよ…聖矢が離れるなんてやだよ……。

私はその瞬間溜まっていたものが大粒の涙となって流れてきた。

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