聖なる光【完結】
「ふーん。光が恋なんて初めてじゃん」
「うん。人生初だよ」私は暗くなった空を見上げる。
「光、」 「ん?」
「ちゃんと中谷に伝えろよ」「うん…」
どうしても伝えたい。今度こそはきっと君に伝えるんだ。
「約束な?」そう言って拓真は小指を立てて私に差し出してきた。
「ありがとう、拓真」
拓真…私、何にも知らなくてごめんね。
駅へ2人で向かった。
「光、全国行こうな」拓真の声は力強くかっこよかった。
「うん…」拓真がバスケのことを楽しそうに話し出した。私は拓真の話を聞いていた。
道路を挟んで向こう側を見ると、聖矢の姿が見えた。
「聖矢っ」
私は本能で走っていた。
好きなの…。好き。
大好き。伝えたい。
聖矢、好きです。
「聖矢っ」聖矢は私の声に気づいてこっちを向いた。
私、いつも自分のことしか考えてなかった。拓真、ごめんなさい。
「光、危ない!!」
「えっ」
前からくるトラックに気がつかなかった。