聖なる光【完結】
「拓真っ!!」私はあくびをしながらこっちに歩いてくる拓真に自分から飛び出していった。
「なんだよー耳痛いって」拓真は耳を指で閉じる。
「聞いてっ!!私、ついにレギュラーなったよ」
「えっ!?まじで!?」拓真は自分のことのように喜んでくれた。
拓真と出会ってはや1年。こんなにも一緒にいるのに2人の間に恋は生まれなかった。
まるで本当の双子のような存在だった。
「光…」あれは中2の冬だった。
「ん?」私はドリブルしている手を止めて拓真の方に体を向けた。
「俺、明日からここ来れないわ」拓真は落ち込んだように言う。
「どうして?」
「彼女…出来た」
「嘘っ?!拓真、好きな子いたんだ」私はすごく嬉しかった。
「よかったじゃん!!ねぇ、どんな子どんな子!?」私は興味津々で拓真に問い詰めた。
「んー光と正反対」
「何それっ」私は拓真を睨んだ。
「だって光みたいにうるさくないし〜優しいし」
「うるさいのは認めるけど、私、拓真に優しいしっ」
「えっ?どこが!?」拓真は私の顔を見回している。
「うざったい」私は拓真の頭を殴る。
「いってー冗談だって」
「拓真、おめでとうね」
「あ、ありがとう」
「何?照れてんの?」
「照れてねぇーし」
2人でたくさん笑いあったね。
拓真といる時間はすぐに過ぎちゃうんだ。