聖なる光【完結】

目を開けると知らないベッドにいた。

ここ…。
私は部屋中を見回した。

「美優」隣の空いているベッドに美優が寝ている。
私の声に気づいたのかすぐに目をあける。
「光っ」美優は勢いよく抱きついてきた。

「美優、服濡れるし」美優は、泣いていた。
私の名前をたくさん呼びながら。
私は美優の泣き声を聞きながら思い出した。


『光危ないっ』拓真の声だった。
「拓真…」もしかして、拓真は。
泣いている美優を私の体から離し美優に問い詰めた。

「美優、拓真は?!拓真は今、どこにいるの?!」私はパニックになった。
頭の中で拓真が私を呼んでいる場面がぐるぐる回っている。
「光、光っ、落ち着いて!!」
「いやっ、拓真は?拓真は?!」私はベッドから降りようとした。

美優は私を後ろから強く抱きしめた。
「やめてっ光!!拓ちゃん死んだの」美優が大きな声で言う。
「ちがっ、違う。拓真、私を呼んでる。拓真が光って呼んでるもん!!」
「行っちゃだめ!!光っ」美優は必死に私を押さえている。

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