聖なる光【完結】
「どうして…」
「ごめん、藍川。言おうか言わないか迷ったけど言わないと聖矢1人でずっと追い込み続けるから」
私は上の空だった。
あんなに私を慰めていた彼が自分を責めていたなんて。
徳原くんは続けて話し出した。
「あいつ、中足骨疲労骨折だってさ」
「中足骨疲労骨折…?」
「練習量増えたからきっと無理したんだろうな」
「治るのにどのくらいかかるの?」
「1ヶ月から2ヶ月…全国は絶対無理だ」
徳原くんは運動場へ戻っていった。
その日私は何をしてたかさえ覚えていない。
いつの間に聖矢にたくさんの重みを抱えさせてたんだろう。
これは私の責任だ。
どうして聖矢の辛さに気付いてあげられなかったのだろう。
私は聖矢の彼女なのに。
だけど、自分から電話もメールもできなかった。
心配だらけだけど聖矢に拒まれるのが怖かった。
このままではいけないと考えていたらもうあれから一週間も経っていた。
あと、夏休みも一週間というのに。
この問題は私が一歩踏み出さないと解決しないんだ。
きっと私が進まないといけない…。
私は朝の部活が終わり、日陰で昼休憩している陸上部のところに行った。
その場所には聖矢は居なかった。
「藍川さん」帰ろうとしたとき見覚えのある声が聞こえた。