聖なる光【完結】

それは『聖矢に近づかないで』と言った千夏ちゃんだった。

私は立ち止まり千夏ちゃんの方に体を向けた。

「話があるの」また何か言われるのかと思って私は渋々着いていった。

人がいない場所で千夏ちゃんは立ち止まり私にこう言った。

「ごめん」不器用な三文字に思えたけど私はすごく嬉しかった。

認めてもらえたのかもと思ったから。
私は笑顔で首を振った。


「私、聖矢が好きだったの」千夏ちゃんは私に告白してきた。

「ずっと好きだったのに聖矢はずっと藍川さんだった。私が好きになるまえから」
「えっ?」
「聖矢がいつから藍川さんのこと好きか知らないの?」
「知らないです…」
千夏ちゃんは少し笑ってこう言った。

「知らないんだ。じゃあ、私の方がもっと好きだったにしとこっかな」

私は思わず笑ってしまった。
あんなことを言った子とは思えない。

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