聖なる光【完結】
story★four
「あと一往復!!」
秋になるとバスケット部は厳しい練習が待っている。
ボールを握れるのは1日でたったの二時間。
私たちにとっては苦痛である練習だった。
部員は汗を滴ながら意識があるのかないのかの狭間で走っている。
秋の練習が始まった今日運動場のはしっこを借りて30メートルを100往復というバスケ部では考えられないメニュー。
この練習は男子バスケ部も一緒に隣でしている。
男子でさえ体力が限界を越えそうだ。
去年のこの練習に拓真は私の隣を走っていた。
諦めそうになる私の背中を何度も押してくれた拓真がいた。
『諦めんな!ここで諦めたら試合は終わる』
その拓真の言葉を聞くと背中がしゃきっと伸びてまたやる気が出てきていたのに。
その彼が今年は居ない。
いや、もう一生いないんだ。
私が拓真のことを考えていると最後の一往復が終わっていた。