神は彼を奪う~君と生きた道~

4.事故

「昨日は楽しかったぁ~」
「俺も。 思い出にのこるような一夜だったよ」
「なら良かった♪」
プルルルルルルルルルルルルルッ
「あ・・・電話」
「出ていいよ」
「うん」
ポケットから携帯をとり、電話に出る。
「もしもし?」
『あ、玲? お母さんだけど』
「お母さん! どうしたの? 何かあった?」
『実は・・・お父さんが入院することになったの』
「え・・・入院っ!? 何で?」
『ぎっくり腰になったみたいで・・・できたらでいいんだけど、今病院に来れない?』
「わかった・・・行くね」
通話を切ると、朝飛が心配そうに見てくる。
「何かあったのか?」
「お父さんがぎっくり腰で入院だって。 笑っちゃうよね…」
「来いとか言われたんだろ? 早く行って来いよ!!」
「・・・いいの?」
「おう」
「・・・ありがと!!」
私はお父さんがいる病院へと急ぐ。


「お父さん!!! 大丈夫?」
「そんな大げさな・・・大丈夫だよ」
「そっかぁ、良かった」
お父さんと話していると、突然鳴る着信音。
プルルルルルルルルルルルルッ
表示されていた文字は、”朝飛のお母さん”
「もしもしっ!?」
『玲ちゃん? 早く病院に来て! 詳しくはあとで話すから・・・・っ・・・プープープープー・・・・・.....』
なんか嫌な予感がした。
私は再び朝飛が居る病院へと走る。
「ハァッ・・・朝飛─・・・!」
私が目にした表示・・・それは、点灯している

   ”手術中”

手術室の前には朝飛のお母さんの姿。
「・・・朝飛はっ・・?」
「今、手術してるの。 ・・・交通事故にあって・・・。トラックと衝突したのよ・・・。 危険な状態だって・・」
朝飛のお母さんは涙を流しながら言っている。
嘘・・・嘘でしょ!?
交通事故にあった・・・・?
危険な状態って・・・。

お願い・・・お願い・・・神様っ・・・・!!
これ以上、私から朝飛を奪っていかないで・・・。




私はあの日、どれだけ願っただろう。
朝飛を救ってほしくて・・・どれだけの涙を流しただろう。
どれだけ神様を恨んだのだろう。

朝飛がいない日が来る─・・・
それが一番恐ろしかったんだ。
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