会長サマのお隣。
だけどそれは答えてくれないとわかっているので、言葉にすることはありません。
きっと、会長のことだから、適当なことを言ってはぐらかすのです。
『…なんでもないです。』
そう言って、会長に向けていた視線を、自分のノートへと戻す。
最初から、会長の視線が私には向けられていないことなんか、ちゃんとわかっていました。
『……っ。』
私は、誤解していたんだと思います。
会長が私に意地悪するのは、私が“特別”だからだと。
どこか私は、会長に特別視されているのだと。