会長サマのお隣。
いつもは来客なんて現れないのに、一体なんなんだよ。
俺はため息をつきながらも、いかにも“仕事をやっていた風”に机の上を乱した。
「開けてもいいですかー?」
俺の返事がないからか、再び響く女の声。
一瞬、居留守をしようかとも考えたけど、見つかったらややこしいから止めておく。
俺は小さくも、ハッキリとした口調で口を開いた。
『…いいですよ。』
本当は、良くないけど。
来客に対応するのは仕事だから、仕方ない。