会長サマのお隣。



だんだんと、扉に近づきながら歩く結愛先輩。



もう帰るつもりなのだと瞬時に察したが、引き止めるつもりはサラサラない。



むしろ、早く出て行ってほしい。




「……ただ。」




結愛先輩が、扉の直前でピタリと足を止める。



この時一瞬だけ、真っ直ぐと向けられた俺への視線。




「もうそろそろ、美穂ちゃんを好きになる人が現れるかもよ?」




そう言って意味あり気に微笑んだ結愛先輩は、なんだか苦手だと思った。




< 240 / 328 >

この作品をシェア

pagetop