会長サマのお隣。
必要、ないんだ。
『…漫画読も。』
そう、自分に言い聞かせて。
自分の目の前にある気持ちや、自分がやるべき行動を見えないフリをする。
美穂が戻ってくれば側に置いてやるけど、自分からは嫌だった。
俺からなんて絶対に認めたくないし、たまには見てみぬフリも必要だから。
――そう思って漫画に没頭した、その時だった。
『……ん?』
ふいに俺の耳に響いたのは、愉快な電子音。
変えるのがめんどさくて買った時のままの着信音は、間違えなく俺の携帯から流れていて。