会長サマのお隣。



『まさか、これが美穂なわけ…?』




言われてみれば、痛み一つない黒髪と、おとなしそうな目。


横に置いてあるキーホルダー1つないスクールバックは、美穂に似てるけど。



なんとなく、ぼやっとする意識のなか、女って変わるものだなと感じていた。



「美穂ちゃん、可愛いでしょ?」




――嘘かと思った。


目の前で恥ずかしそうに微笑む彼女が、美穂だと思わなくて。



メガネがない美穂は、小さな可能性を開きだした時みたい。



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