会長サマのお隣。
「…えっ?」
遅れたように耳の後ろで響いたのは、美穂の戸惑いの隠せない声。
全てが無意識だった俺は、躊躇いもなく美穂の細い腕を掴んでいて。
慌てる美穂に構うこともなく、喫茶店の中を、美穂を引っ張って歩いていた。
「会長…っ!?」
美穂のそんな声、聞こえない。
別に美穂はなにも言うことなく、俺に従っていればいいから。
結愛先輩なんか気にすることなく、俺に付いてくればいい。
なぜか俺の心は歯止めが聞かなくって。
ドラマのワンシーンみたいに、結愛先輩から奪うように美穂を連れ去った。