会長サマのお隣。


「……っ。」



…会長は、今何を考えているんだろう。


呆れられてる?
面倒くさがられてる?
怒ってる?



怖くて下を向いているので、会長がどんな表情をしているのかわからない。


何を想っているのかも、読み取れない。




――それは本当に一瞬、のことだったと思います。



サラ、と。

突然、繊細な綺麗な指先が、私の真っ黒な前髪に触れて。



思わず息が、呼吸が、胸が、体が、

全てが止まる。


前髪に触れていたその手は顎へと下がり、下を向いていた私の顔を、前へと上げさせました。



< 69 / 328 >

この作品をシェア

pagetop