会長サマのお隣。
「……っ。」
…会長は、今何を考えているんだろう。
呆れられてる?
面倒くさがられてる?
怒ってる?
怖くて下を向いているので、会長がどんな表情をしているのかわからない。
何を想っているのかも、読み取れない。
――それは本当に一瞬、のことだったと思います。
サラ、と。
突然、繊細な綺麗な指先が、私の真っ黒な前髪に触れて。
思わず息が、呼吸が、胸が、体が、
全てが止まる。
前髪に触れていたその手は顎へと下がり、下を向いていた私の顔を、前へと上げさせました。