会長サマのお隣。
――そう、思ったのも一瞬の矢先だった。
ふわり、と。
先輩が美穂の前髪に触れて。
美穂が驚いたように、けれども照れ混じりにはにかむ。
先輩もそれにつられたように、柔らかく微笑んだ。
…まるで、付き合い始めたばかりの初々しいカップルのように。
『……。』
遠くの方からザワっと、声が上がる音がする。
きっと、教室の窓から野次馬していた女子たちが、先輩の行動に驚いて興奮したのだろう。
――俺は、その逆で。
声でさえあげることができなかった。