忘れられない人
龍二は、ソファーに深く座って気になっていたことを聞いた。

『なぁ、このソファーとテーブルってどうしたんだ?』

『私から龍二へのプレゼントだよ。いつもありがとう』

陽菜は龍二に微笑んだ。すると、龍二の顔が一気に引き締まり、勇ましい顔に変化していった。いよいよか?

『あ、あのな‥』

龍二は、ポケットに閉まっていた小さい箱を強く掴んだ。

そうだ!このタイミングでプロポーズしろ。そして、俺を陽菜に渡すんだ!!
俺は龍二に向かって叫んでいだ。


『な~に?』

『‥‥‥』

龍二はプレゼントを渡すタイミングを図っていた。でも‥いつしか「今渡したら交換したみたいでイヤだ!!」そんな風に考えが傾いていき、掴んでいた手を緩め始めた。


おいおい!?今渡さないでいつ渡すって言うんだよ?このタイミング逃しちまって本当に後悔しないのか?

俺の声は、こいつには届かなかった。こいつは、俺から離した手で陽菜の頭を撫でた。

『ううん。何でもない』

何でもない分けないだろう‥

『何それ。今日の龍二、何か変だよ?今デート中なのに‥』

そうだそうだ!!陽菜、もっと龍二を攻めるんだ。

『‥そうだったな。デート楽しまないと‥この後何するか。ゲームでもするか?』

陽菜は横に首を振った。

『じゃあ‥?』

すると真剣な目で龍二を見た。


おっ!!
そこで、さっき何を話そうとしたのか聞きだせ。そうすればお前に俺が渡る。お前は龍二からプロポーズされるんだぞ。

俺の心拍数が一気に上がった。


『昨日の‥‥龍二のお願いを聞いてあげるよ?』

龍二の心拍数が一気に上がった。俺の心拍数は一気に下がった。


何だよそれ!?
俺には理解不能の回答だった。
< 123 / 140 >

この作品をシェア

pagetop