忘れられない人
この事は、すぐに彼には言わなかった。本当に妊娠しているのか確かめてからにしよう!!そう思ったから、産婦人科に行ったの。

でもね、診断結果は「ストレスが原因で生理が遅れているだけ」だったの。


私は一気に落胆した。
希望と絶望が一気に押し寄せてきたの。


それからしばらくの間は、彼に誘われても逢わなかった。最後の望みも消えて、次に逢った日が最後の日になるんじゃないかって‥薄々感づいていたから。


でもね、ある日1通のメールが届いたの。

「どうしても今日‥逢いたい」って。いつかは、こんな日が来るんじゃないかと思っていた。私はね、今日が最後の日になりませんように!!って再び神様にお願いをしたの。

でも‥神様は、今回の私の願いは叶えてくれなかった。

別れ際に彼から「今日で最後にしよう」って言われたの。分かりきっていたことなのに‥涙が止まらなかった。彼は私にハンカチを渡して「ごめん」って何度も誤った。

そして私たちは終わったの。


私ね、彼の事を思い出にする為に、彼が好きだといってくれた「髪の毛」をバッサリ切ったの。そして彼への想いと一緒に思い出の箱に終い込んだの。一生開けられる事の出来ない、頑丈な箱に‥


『これがね、彼と私の思い出だよ』

私はリュウジとの思い出を全て思い出してしまった。涙が出そうだったけど‥目の前に龍二がいたから我慢した。


すると、龍二は私に向かって聞いてきた。

『陽菜、聞きたいことが2つある』


2つ?どんな質問をされるのか想像もつかなかった。
いい質問の内容ではないことは分かっていた。でも今さら断っても‥

私は龍二の聞きたいことに正直に答えることにした。


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