忘れられない人
再会
「お久しぶりです。元気ですか?突然メールなんてしてごめんなさい。話したいことがあります。仕事が終わった後でいいので、連絡ください。待っています」

と。

私は、トイレに行くときも、お風呂に入っているときでさえも携帯を持ち歩いていた。でも‥リュウジから連絡は来なかった。


『そうだよね‥今さら何だよ!!って思っているよね、きっと‥』

私は諦めていた。
でも、メールが送れた事は嬉しかった。アドレスが変わっていなくて‥本当に良かった。


メールの返信がないまま3日が経過した。

何気なく携帯を弄っていると、突然電話が掛かってきた。着信画面を見ると「リュウジ」からだった。私は突然の電話に驚いてしまい、携帯をその場に落としてしまった。それでも携帯は鳴り続けた。

私は、携帯を拾い上げるわけでもなく、ただじっと眺めていた。

しばらく鳴り続けていたけど、あるとき音が止まり、画面には「着信あり」の表示だけが残っていた。

鳴り終ったのを確認してから携帯を拾い上げ、画面を見て、やっと今の状況を把握することが出来た。


『電話‥かかってきたよ‥』

突然、欲しかった物を手にした時と同じリアクションをしていた。


『ってか、かけ直さなきゃ!!』

私は慌てて着信履歴を開き、リュウジにかけ直した。

呼吸を整える間もなく、すぐに電話の向こうから声が聞こえた。


『もしもし?』

その声は、ずっと聞きたかったリュウジの声だった。最後に聞いた声と全然変わっていない‥リュウジの声‥

私は懐かしさに浸っていた。


少し間をおいてから、もう一度リュウジが「もしもし?」って言ってきた。私もようやく声を出すことが出来た。

「お久しぶりです。陽菜です‥」と。


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