忘れられない人
『一度こっちに戻って来たって言っただろ?それは、どうしてもお前に逢いたかったからなんだ。少しでも話が出来れば、その後の仕事も頑張ってやれると思った。でも、一目見てお前の気持ちに気付いたんだ。

俺の事なんてもう‥何とも思っていないって‥』


えっ!?
何でそう思ったの?私に話しかけもしないで‥どうして私の気持ちをそう解釈したの?私は慌てて聞いた。

『ど、どうして‥そう思ったの?』

『髪が‥』

『私の髪がどうしたの?』

『短くなってた。俺が長い髪が好きだって言ったとき、お前は俺の為に伸ばし続けるって言ってくれた。なのに‥』

『あの時は‥』


リュウジへの想いをを封印するために‥

リュウジが好きだといっていた髪を切ることで、前に進めるような気がしたから‥だから私は髪を切ったのよ?

って、今さら言ってもいい訳に聞こえちゃうのかな。

私は本当の理由を言わなかった。


『ごめんな、久しぶりに逢ったのに暗い話になっちまって。って、もうこんな時間か‥お前といると時間が経つのが早いな。そろそろ‥帰るか』


もう少し一緒にいたかった。でも、リュウジには迷惑をかけられない‥

『あっ、うん。そうだね‥』


私たちは席を立ちレジに向かった。

『さきに車に戻ってて』

そう言って車の鍵を渡された。私は頷き、先に車に戻った。


しばらくしてから、リュウジも車に乗って来てコンビニに向かって走り出した。


『いくら払えばいい?』

『あっ、いいよ別に。俺が注文したんだし』

『そう?じゃあ、ご馳走様です』

『いいえ』


車の中での会話はこれだけだった。他にも聞きたいこと、話したいことは山ほどあるのに‥上手く言葉にすることが出来ないでいた。


1時間ほどすると、目的地であるコンビニについてしまった。
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