忘れられない人
『龍二が好き。大好き!!この先もずっとずーっと好きです。龍二の隣にいたいです。海外に‥行かないで‥私から‥離れないで‥近くにいてよ‥お願い‥』

龍二への思いを伝えている途中で、隠しても隠しきれない私の本心が出てしまった。ベッドの上で泣き崩れていると、龍二が私の横に座って、よしよしって頭を撫でてくれた。


『大丈夫だよ。俺は何処にも行かない。陽菜の近くにずっといるから』

『本当に!?何処にも行かない?』

『おう。だって俺、会社辞めるもん』

『‥‥はい!?』

驚くとしゃっくりが止まるとは聞いた事あるけど、涙も止まるなんて知らなかった。


『い、今何て言った?会社‥辞めるって?』

『うん、言った。だって俺、陽菜の近くにいたいもん。遠くに行ったら息が出来なくて死んじゃうかも(笑)』

口を開けたまま龍二を見ていたら、龍二は両手で私の顎と頭の天辺を持って、口を閉じた。


『陽菜の事を諦めようと何度も思った。いっそ海外に行ったら忘れられるんじゃないかって。でも‥陽菜がそいつを思っていたのと同じように俺も、陽菜を思い続けるっていう結論に辿り着いて‥遠くに行く理由がなくなった。

昨日、陽菜の気持ちを聞いた後、そのまま会社に行って辞表を出してきた。俺の働きぶりを見ていた上司が、新しい職場を紹介してくれてさ。近いうちに面接することになってる。

俺も、陽菜の隣にいたいです』

『龍二!!』

『ちょっ、うわっ!!』

私は龍二に飛びついた。

『痛ぇ~お前、少し太ったんじゃね?』

『何それ!!酷い』

龍二の胸をポカポカ叩いていると両手を掴まれ、引き寄せられた。

『りゅ、りゅう‥』

『これが現実なんだよな?陽菜は俺を選んだんだよな?』

龍二の声が少し震えていた。


『そうだよ。私を‥離さないでね。ずっと捕まえていて』



悩んで迷って苦しんで‥たくさん回り道をしたけど、ようやく見つけることが出来た。ずっと私の隣にいて笑っていて欲しい相手を。ううん‥私のご主人様を(笑)




【未完】
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