忘れられない人
『うわっ!!』

陽菜を守ろうと思い、手を差し伸べてソファーのある方に引っ張った。でも、陽菜が俺の袖を掴んでいたのでその反動で俺もソファーに引き寄せられた。


『イタタタタ‥』

左手はソファーに付けたまま、右手で打った場所を押さえていた。

『陽菜、大丈夫か?怪我は‥?』

目を開けると陽菜と俺の唇が触れるか触れないか辺りまで接近していた。俺は‥陽菜の上に覆い被さっていたのだ。

『えっと~‥』

陽菜の顔が赤かった。今の状況が把握できていないんだろう。

『陽菜の顔、りんごみたいで可愛い(笑)』

少しからかってやると涙目で俺を見てきた。

『ち、近いの!恥ずかしいの!!』

陽菜は横を向いて視線を外した。でも本当に恥ずかしいのか耳まで真っ赤だった。
ヤバイ!自分をコントロール出来ない‥。俺は右手で陽菜の顎を掴んで正面に向けなおした。

『その顔‥全く説得力がないんですけど』

俺は強引に陽菜の唇を奪った。


『‥‥ふ‥‥ン‥』

そんな声出されたら我慢できない‥
俺はその声に欲情して角度を変えて何度も何度も唇を重ねた。俺は全然平気だったけど、陽菜が苦しそうだったので唇を少し離した。

『バ、バカ』

陽菜が俺の胸に顔を埋めて啜り泣きしていた。

『ごめん!俺‥』

『龍二のバカ!!』

そう言って、俺を突き飛ばして自分の部屋に閉じこもってしまった。
< 88 / 140 >

この作品をシェア

pagetop