水の王子様
そのとき。
ドアがまた開いた。
「何事?」
「部長!神森さんが無断で侵入していました」
「…海」
「…尚貴先輩」
「後ろの子は?」
「えっ…」
後ろの子ってあたしのことだよね…?
あたしはヒョッコリと海の隣に出た。
すると尚貴先輩?とかいうひとがあたしに近づいて来た。
そしてあたしの髪を触って来た。
「…濡れてる」
「あぁーえーとそのーそれには訳がありまして…」
「おっ俺が外で水を飲んでたんですよ!そしたら急にコイツが背中押して来て水が噴射したんですよ!」
「ふーん…君、名前は?」
「花門麗水ですっ!水泳部に入部するつもりです!!」
「そうなんだ。俺は泉尚貴。水泳部の部長を務めてるんだ」
そう言ってあたしに優しく微笑み掛けた。