水の王子様



海はすごくイケメンになっていた。



きっと女子にモテるんだろうなーって思った。



「それじゃぁ花門は神森の隣の席」


「はいっ!」



あたしは席に着き、海を見つめた。



「…んだよ」


「久しぶりだなーって思って」


「…何だよそれ」


「水泳まだ続けてるでしょ?」



あたしが1番聞きたかったこと。



「…んなもん、とっくに止めてるし」


「…えっ?」



止めてるってどういうこと…?



だって小さい頃に約束したじゃん!



あのときの約束忘れちゃったの…?



それは海と別れる日のことだった。
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