水の王子様
              ~海Saide~



『バシャン…!』



後ろに向いて間もなく、水の音が聞こえた。



まさかアイツ…!



俺は咄嗟に体をプールの方に向けた。



そんな俺の目にグッと来るものが飛び込んで来た。



しなやかに泳ぐ彼女がとても綺麗に見えた。



普段は自分勝手で無駄に元気のいいアイツなのに。



今はすごく美しく見える。



これは夢なのか…?



目を擦ってみるが風景は変わらない。



まさかアイツがこんなにも成長していたなんて思ってもいなかった。



俺は胸がギュッと締め付けられた。



すごく苦しかった。



俺はそのとき気付いてしまった。



麗水のような泳ぎが欲しいと思っていたことに。



もう水泳はやらないって決めたはずなのに…。



俺の馬鹿…!

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