水の王子様



あたしは満足し、水から顔を出した。



「ぷはぁー」



目を開けるとそこには海が…?!



「きゃぁっ!」



海の馬鹿ぁー!



後ろ向いてってあれ程言ったのにー!!



「しっ!静かにしろ!水泳部が来たらどうすんだよ!」


「だって!海が後ろ向いてないからいけないんでしょー?!」


「とにかく上がれ」



そう言って海は手を差し伸べて来た。



一瞬ドキッとした。



海の手に触れる何て何年ぶりか…。



「何ボケっとしてんだよ!早くしろ」


「うっ…うん!」



あたしは海の手を掴むと、体がフワッと浮いた。



そして海の体に飛び込んでしまった。
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