太陽と月
6年前の夏―。
もう生きることに飽きた。
こんな世界いたって何の意味もない。
こんな世の中もういやだ。
楽になりたい。
息苦しいのはもううんざり。
さぁ死のう。
ここを飛び降りたら私は自由。
何にも縛られない。
ヒューと夜風が吹く。
追い風だ。
きっと風も私の死を喜んでいるんだろう。
私はこんなに気持ちのいい夜風の中で死ねるんだ。
なんて幸せ者なんだろう。
夜景が綺麗。
東京の夜景は田舎の夜空に匹敵する。
いや満点の星空よりもずっと綺麗だ。
人の努力で作られたものだから。
魂が宿っている。
私は?私に魂は宿っている?
私の作ったものに魂は宿っている?
きっと宿っていないだろう私自信抜け殻みたいなんだから。