イケナイ関係。
あたしは歩き出した幹の服の裾をつかんだ。

「ん?どした?」
幹は驚いた顔であたしを見つめた。



「・・・今日・・・幹の家泊まっちゃダメ・・・?」



あたしは一生分のドキドキ使っちゃうくらいに勇気を振り絞った。
しばらく幹はキョトンとしていたが、すぐに笑顔になってこう言った。
「わかった。じゃあ寒いから早く行こうぜ。」



そして・・・冷え切ったあたしの指をからめて・・・手をつないだ。

幹は繋いだ手をぶっきらぼうにポケットに突っ込んだ。



その仕草が可愛くてあたしは思わず微笑んだ。



「さっきから寒いばっかり言ってるけどもしかして冷え性?」
「うっせー///」
「やっぱり図星だー!!」



あたし達はそんな他愛のない話をしながら並んで歩いた。



「ねー幹?」
「ん?」
「・・・やっぱりいいや。」
「なんだそりゃ?」
そう言ってあたし達は笑った。



やっぱり・・・あたしには『好き』って伝える勇気ないや・・・。でもそれでもいーんだ。幹のそばにいられるんなら・・・。




あたしは幹の手をまた強く握り返した。
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