イケナイ関係。
「離して・・・。」

そう言うあたしの声はやっぱり震えていた。
それでも幹にバレないように顔を背けた。

「どうしたんだよ?何泣いてんだよ?」
幹はいつものように冷静にあたしを正面に向かせた。


幹の顔を見ると一気に涙が溢れてきた。
幹は唖然とあたしを見ている。


「どうしたんだよ・・・?俺なんもしてねーぞ。」



こんなに好きなのに・・・。こんなに近くにいるのに・・・。想いを伝えたら去ってっちゃう・・・・。なんであたしは幹の彼女になれないの・・・?


「好きっ・・・好き・・・好きっ!!」
幹は呆れたような表情であたしを慰めようとする。

「それはわかってるって。」
「わかってないよっ!!!わかってないってば!!!あたしがどんなに幹のこと好きか・・・わかってない!」
「・・・・。」
「あたし幹が好き!好きだけじゃ足りないくらい好きっ・・・!!」
幹は黙ってあたしを抱きしめた。


ずるいよ。いっつもそうやって誤魔化すんだから・・・・。


「嫌だあ・・・あたし幹じゃなきゃ・・・・。」
あたしが言葉を発する度に幹の腕は強くあたしを抱き寄せてくれる。


こんなこと言うあたしって・・・ずるい女かな・・・・?
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