【COLORS②】しぶコイ。



「何やってるんだ、お前……」



げっ!まずいっ!
人に見られてた……今の全部?



「柿泥棒?」

「ま、まさかぁ~!そんなハズあるわけ……」

右手に収まっているそれをもはやごまかす手立てはなかった。



「この柿、確か『渋柿』なんだよな~俺が引っ越す日に記念で植えたんだっけ?もうこんなに大きくなったんだ」

『渋柿』……(知らなかった)

「って!なんでこいつそんなこと知ってんのよ!」

「ばーか、俺のこと忘れたのか?美月(みつき)」

その少年がどうして私の名前を知っているのだろうか。
どんなに思い返しても、脳内検索では一致しない。


「え……っと」

「俺、今日からまたここに住むことになったんだ」


ここに……住む……?


「もしかして、流星(りゅうせい)!?」

私の手から柿が地面に転がり落ちたのだった。
< 2 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop