【COLORS②】しぶコイ。
「何やってるんだ、お前……」
げっ!まずいっ!
人に見られてた……今の全部?
「柿泥棒?」
「ま、まさかぁ~!そんなハズあるわけ……」
右手に収まっているそれをもはやごまかす手立てはなかった。
「この柿、確か『渋柿』なんだよな~俺が引っ越す日に記念で植えたんだっけ?もうこんなに大きくなったんだ」
『渋柿』……(知らなかった)
「って!なんでこいつそんなこと知ってんのよ!」
「ばーか、俺のこと忘れたのか?美月(みつき)」
その少年がどうして私の名前を知っているのだろうか。
どんなに思い返しても、脳内検索では一致しない。
「え……っと」
「俺、今日からまたここに住むことになったんだ」
ここに……住む……?
「もしかして、流星(りゅうせい)!?」
私の手から柿が地面に転がり落ちたのだった。