まるで、恋
―沙耶side―
目を覚ました。
……私、寝ちゃってたんだ。
ふと、隣を見る。
「うっわあぁ!!!」
び、びっくりした~。
…思い出した。きれいな寝顔の男の人を盗み見ているうちに寝ちゃったんだ。
知らない人の(それも男の人の)肩で寝ちゃうなんて、無神経なことしちゃったな。
男の人はこっちをジッと見ている。
あ、謝らないとね。
「あ、あのっごめんなさい!勝手に肩借りてしまって」
深々と頭を下げる。
「…まぁ、いいけど。次は寝どこ襲われないように気をつけろよ」
「え、あっはい!!」
私が大きな声で返事をすると、男の人はフッと小さく微笑んだ。
――トクンッ
……脈が波を打つ。
この時にはもうすでに恋に落ちていたのかもしれない。
今目の前にいる、まだ名前も知らないあなたに。