☆流れ星にネガイを☆
でもいつまでたっても痛みはこないし、爆音は後ろから聞こえた。墜落した時の衝撃波の風が制服のスカートを揺らす。
多分生きてる…。

「いたた…着陸失敗」

声!?低い…男の声だ。

「あ、はじめまして!俺は貴女の願いを叶える星!流れ星K34号です!」

挨拶された!?私に!?
そっと目を開けてみると前には誰もいない。
代わりに後ろに人の気配がする。
恐る恐る振り返ると頭を下げた男の後ろ姿があった。

「あれ?」

私じゃないの?じゃあコイツ誰に向かって頭下げてんの。
辺りを見回しても私とコイツ以外誰もいない。
つまり男は夜の空間に向かって頭下げてるって事か…。
え!?コイツまさか変態!私襲われるの!?


そんなのはごめんだ!


そう思い一歩男から離れた。すると突然勢いよく男が頭を上げた。

「ひっ」

大声を出したかったけど気付かれて変な事されたら一巻の終わりだ。慌てて口を塞ぐ。

男は頭を上げたあとまた喋りだす。

「よろしく…あれ?」

顔は見えないけど声からして笑顔から困惑した表情になったと思う。
男はまた喋りだした。

「あれ?誰もいない…!?え?え?なんでだ!?」

男は左右をキョロキョロ見回している。
何コイツ…?変態じゃなくて変人?
あまりにも挙動不審な男に1メートル引いた。

「困った!俺このままじゃ落石だ!どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう」

声が情けないものになった。なんだか可哀相に思えてきた。同情してるかもしれない。
とにかくなんだかほっとけないから声を掛けることにした。怖いけど。
小さく息を吸って声を出す。

「あ、あのー」

「どうするどうするどうするどうするどうする」


聞けよ!



なんだか苛々して右手を相手の肩に乗せた。
文句の一つでも言ってやろうと思ったら男は弾かれた様にこっちに向いた。
びっくりして「ひゃっ」と変な声を出してしまった。
でもそれよりもっとびっくりしたのは男のルックスだった。
街灯のわずかな光と目が慣れて見える男の顔は雪の様に白くて女の私より綺麗だった。
その顔を覆う真上にある夜空と同じ位深い黒髪。それと対になってる真っ白な半袖のカッターシャツとGパン。
ちょっと気になったのは小さな星のピンバッチの付いた普通より少し長いネクタイ。
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