☆流れ星にネガイを☆
「あの!私そういうのに興味ないし、宗教とかも仏教で十分なんで…その…お断りします」
男はそれを聞くと明らかに傷付いた顔をした。
感情が顔に出やすいようだ。
「宗教じゃないです!流れ星です!
興味以前に貴女は俺に願ったから俺は叶えなきゃいけないんです!」
あれ?逆切れ?
「流れ星って…嘘ばっかり!貴方どう見たって人じゃないの!」
そう言いながら人差し指を男に向けた。
人を指で指しちゃいけないとか言われるけどいいよね 。
人差し指だもの。
「じゃあ…流れ星ならいいんだ?」
「えっ」
男は目を閉じた。
何が始まるのかと思ったが何も起こらない。
なんだはったりじゃないの。
なんだか馬鹿馬鹿しくなって小さく溜息をついた。
しかしその出した二酸化炭素をまた吸い込んでしまう。
「嘘…」
男が光ってた。星みたいに。
しかも男はさらに追い撃ちをかけてきた。
足が地面から離れてる。つまり浮いてるって事。
「ゆ、ゆーれ」
「幽霊じゃなくて流れ星ですってば」
そう言いながら地面に降りてくる。
「ほ、本物?流れ星?」
「はい」
男は相変わらず笑顔で、私は引き攣った顔。
「信じてもらえましたか!?」
信じる信じないの問題じゃない。
今非現実的な物を次々と見せられ倒れそうなんだから。
黙り込む私を不思議に思ったのか男が私に近付いてきた。
「どうしました?」
分かってるくせに
「夏風邪ですか?」
アンタだってば
「もしかして願いは風邪を治す事ですか?」
「願い…?」
あ、そっか。
コイツは流れ星なんだよね。やっぱり
だからその流れ星に願い事した私の所に願いを叶えに来たわけだ。
本人がそう言ってるし。
「え…でもちょっと待って」
「どうかしました?」
「私
何願いしたか
忘れちゃった」
また男は傷付いた顔をした。
こんな感じで私達は出会った。
蒸し暑い夏の聖なる夜
その夜の月と星はまるで
私達を祝福するように
私達を嘲笑うように
私達を哀れむように
これでもかってくらい
きらびやかで
神々しくて
美しかった。