☆流れ星にネガイを☆
「大丈夫ですよ。だって俺貴女以外には視えないから」
「はぁ?」
なんですか。ファンタジーの王道ってやつ?
「あ、でも昼間は視られるかな」
「どっちよ!」
「…えっと…説明しましょうか?」
「…うん」
男は綺麗な笑顔を私に向け自分のネクタイを摘んだ。
男の髪くらい深い黒に金色の星型ピンバッチがよく映える。
「これは俺が流れ星である証です」
「ネクタイが!?」
随分安い証だな。
「そしてこのピンバッチは…受験票みたいなものです」
「ピンバッチが!?てか受験生なの!?」
「ちょっとうるさいですよ」
むすっとした顔の男が人差し指で額をツンとつつかれた。
熱が顔に集まる。
その反応を見て男は笑った。
あれ?
「…笑った」
「ははっ…あれ?俺今まで笑ってなかった?」
「…微笑んでる、が正しいかな?」
けど先刻は子供みたいに笑ってた。
本当の彼を見た気がする。
私はうん、と頷いて
「そっちの方がカッコイーよ」
きょとんとした男の顔。
次の瞬間凄い速さで男の手の平が私の目に。
み、見えない…。
「話逸れたじゃん。続けるよ」
そう言って手を離す。
景色が暗闇から男の姿に変わる。
何故か私に背中を向けて。
…私何かした?
「こっち向きなよー。説明してよー」
「は、はい」
ゆっくり振り返る男の顔はほんのり赤い。
「…ははん」
こいつ照れたな。
「あー…あの…」
「うん?」
「な、名前…は?」
「誰の?」
「ご主人様の」
「今更!?」
普通出会った時に聞くでしょ!
いや、普通ならか。
普通じゃなかったからな。
「柳井美星だよ」
「やな…い、み…ほし…美星さんですね!」
また笑った。うん。
やっぱりカッコイイ。
「美星さん美星さん」
「はい?」
「美星さん。へへっ」
「……」
なんか可愛い。
何か嬉しさを噛み締めるような笑顔がキラキラして……。
いやほんとキラキラしてる。
こいつ光ってる!?何故!
「美しい星で美星さんですかー。とっても素敵です」
「あ…ちょっと…」
「名前に星があるなんて最高じゃないですか」
「ひかっ…光って」
「ぴったりな名前ですよ」
「聞いて!光ってるの!貴方光ってるの!」