ボスを継いだ少女
12. 友達
「あんた、一体何者なの…」






私はどうせればいいのかわからない。






ただ『神山ミコト』と話すことしかもう策がない。






「この前言ったとおり、僕は『超越者』なんだ」






「おい、アカネ。逃げるぞ。
こいつは俺たちが戦えるレベルじゃない」






「…どうして」


「…」






「どうして、あなたなの。
あなたさえいなければ私が一番強かった」






「辻本…」


「アカネ…」






「私は子供のときからお父さんに鍛えられ、誰よりも強く生きるように教わった。
勉強でも能力でも…。
でも私の才能は戦闘以外何にも役に立たず、能力値だってお父さんの半分もない。
だから『キャンセラー』なんか使って…訓練してお父さんに勝った。
それで私は誰よりも強いと思えた。
でもそれも今日で終わり…なんであんたなんかに負けないといけないの。
何の努力もしていないのに…」






私は涙を出した。







人を殺すことも嫌だ。

人を傷つけるのも嫌だ。

人を悲しませるのも嫌だ。






心では分かっているのに頭は『誰よりも強く』ありたいと考えてしまう。






私は自分を殺して自分の意志で







人を殺し、

人を傷つけ、

人を悲しませた。






でも、それも今日で終わりだ。






絶対的な壁が目の前にあった。

これを超えることは人生を掛けても不可能だろう。






「アカネ…」







私はヨシトの方を見た。







「お前は負けない。俺が負けさせない」
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