ボスを継いだ少女
19. 約束
ヨシトが瀬川さんの仕事を終えて戻って来た。




瀬川さんは店をしばらくお休みして、この機会に店内の改装をしていた。




でも、そんな風景を見ると自分の立場が忘れられるような気がした。






「アカネ。戻ったぞ」


「うん、ヨシトお疲れ様」


「んっ、なんかいいことでもあったか」


「仲間と連絡が取れるかもしれない」


「本当か」


「うん、もうすぐ連絡が来る予定よ」


「そうか。それじゃあ、ついに『W』の全戦力がこの国に来るのか」


「連絡次第ではそうなると…」






ピー、ピー






電話が鳴った。私は出た。






「よう、辻本。元気か」


「元気よ。あなたは…」


「今、『ノワール』って国に居るんだけど、すごいなー」


「どうしたの」


「『W』と『ノワール』が戦ってるんだ」


「そう」


「まあ、いつものことだからいいんだけど…。
話って何だ。
神山が連絡しろってうるさくてさー」


「うん、知ってるかもしれないけど、私は『W』のボスをやってるの…」








「馬鹿だなー。
そんな冗談を信じるほど俺は馬鹿じゃないぞ」
< 72 / 102 >

この作品をシェア

pagetop