50代のビキニ
大胆な私

その1

あのね、私、ず、ずーっと前、喫茶店をやりたかったの。

部長に相談したら、知り合いの喫茶店を紹介してくれた。
そこで見習いがてら働き始めた。

駅を降りての帰り道いつも、気になっている喫茶店があった。

ちっゃいの。だけど、ドアがね。黒っぽい木製。ゴシック調の彫刻が施されたドアなの。


その頃の私、一人でお店に入る勇気なかった。だけど、喫茶店をやりたいと思ったら、急にこの喫茶店の中を見てみたくなった。

気づいたら勝手にドアを押していた。


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