50代のビキニ

その2

私は高校2年で弾けた。それまではおとなしい子であった。
どうして弾けたかは、またの機会にお話しましょう。
10月、文化祭。
私達のクラスは劇をやることになった。
『天才バカボン』をやろう!
私がシナリオを書きまーす。
思いっきり笑える劇にしょう!
私はハリキっていた。
天才バカボンのパパ役は3人。
朝のパパ。 昼のパパ。 夜のパパ。
夜のパパは松君。
当然ママ役も3人。
朝の妻(ママと言わないでどうして妻としたのか、自分でもわからない)。 昼の妻。 夜の妻。 私は夜の妻の役。
いよいよ、当日、その時がやって来た。
松君が私に駆け寄って来た。
「プーちゃん(私のニックネーム)、僕をぶつところは、力を入れないでね!」
心配そうな彼。
「オッケー、わかってるって!」ホッとして松君は笑顔で去った。
「パパったらダメじゃないの!」って、私がパパ役の彼を平手で打つ場面があるのだ。
劇は順調に、快調に進み、観客である生徒達の歓声が聞こえる。
嬉しい!!
さぁ、私の出番だ。
かなりドキドキ。
でも、スポットライトを浴びたとたん私にスイッチが入った。
例の場面がやって来た。
「パパったら、ダメじゃないの!!」
私、テンション上がり過ぎ。
本気で力一杯松君を平手で打ってしまった。 彼、はっきり吹っ飛んだ。
舞台の裾まで。
観客は大笑いだ!!
劇が終って、彼が私のところへすっ飛んで来た。
「プーちゃん、ひどいじゃない!! 痛かったぁ~!」
彼は手で押さえていた右のほっぺを私に見せた。
彼の白いほっぺには、くっきりと紛れも無い、私の手形が赤く張り付いていた。
「ごめん!! そんなつもりはなかったのよ…。 つい手が滑って…」そう言いながら笑い転げる罪な私。
どっちが男の子なのか!!


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