50代のビキニ
それから、一週間。

私は、寮の一室で新聞をめくっていた。

ふと、ある記事が目に止まった。


この写真の顔…

ま、まさか!?

まさか…。


震える思いで、あの運転手さんがくれた名刺を出してみた。


名前が同じだ!

何度も確かめた。

会社も、名前も一緒。


しばらく動けなかった。

涙が溢れてどうしょうもなかった。

あの優しい運転手さんは、タクシー強盗に刺されて殺されたのだ。


こんな事が、あっていいの?


こんな不条理な事が!!



彼のあの時の笑顔が浮かんだ。


ほんの少しの間でしたが、親切にして頂いて本当にありがとうございました。


頂いた名刺が悲しかった。



人生には、どうにもならない事があるのだ。


私は、そっと手を合わせた。


彼の親切を一生、忘れないで生きて行こうと思った。





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