青春の風
 
「そうですよね、せっかく行くなら楽しんだ方がいいですよねっ!」



「なんだよ急に」



呆れた声を出す樹先輩は、教師になって歴史を教えたいと……。



「そうだっ! 歴史館みたいなところはどうですか?」



「は?」



「美術館が駄目なら歴史館ですよ。それなら、樹先輩楽しめません?」



なかなかいいことを考えついたと思い、思わず力が入り嬉しくなった私を、少し驚きながら見る樹先輩が表の顔で笑った。



それはそれは、優しそうな笑顔で……。



「それだと、俺しか面白くねえだろ」



「え?」
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