青春の風
普通、どう考えても文章の冒頭に相手の名前を書くはずなのに。
こんな大事なもの音楽室の机に入れるはずないのに。
そもそも宛名が書かれていないのに、差し出し人だけ書かれているなんてどう考えてもおかしいのに。
それでも私は騙された。
その日の昼休み、意を決して向かった先は2年の校舎。
初めて来た上級生の校舎に緊張しながらも、使命感に燃える私は2組の前で立ち止った。
「あのっ、遠藤さんってこのクラスにいますか?」
丁度出てきた、女子に声を掛ける。