青春の風
「咲良?」
それはまるで頼むような仕草で、優しく名前を呼んだりする最低な男。
一瞬咲良先輩と、青空先輩の視線が合う。
優しい瞳で見つめるのは、予想外に女の扱いに慣れている男。
その瞳を見つめながら、諦めたように小さく頷くのは美人でどこまでも理想的な女子。
その姿に、胸が痛くなり思わず私は口走っていた。
「じゃあ、朝は青空先輩が咲良先輩を迎えに行ってあげてくださいよ」
だってそうでもしないとあまりにも可哀想じゃない?
「どうして?」
状況がわかっていない奈美ちゃんが不思議そうに聞く。