青春の風
 
唖然としていると、先ほどの女子がハンカチで手を拭きながら戻ってきた。



「大丈夫だよ、可愛いから。樹が相手だと仕方ないけど、他の子ならイケるよ」



そう言ってまた私の肩を叩く。



「この男は、彼女とかいらないだけ。別にあなたが悪いとかじゃないしね」



面倒そうにこちらを見る冷たい顔の男と、何故か慰めてくれようとしている女子に挟まれて、状況が理解できていないのはどうやら私だけらしい。



「私も1年の時に振られてるから。ね? もうやめて新しい出会い見つけなよ」



振られてる?



付き合うとか考えてねえんだよ。



ああっ、そういうことかっ!
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