青春の風
まだ海開きがされていない平日の海岸には、人の姿はない。
綺麗ではない海を眺めながら、時折静かに押し寄せる波を避けながら砂浜を歩く。
「海ってさ、地球の面積の70%ちかくあるんだって」
「ふーん、そうなんですか」
「しかもすべてが繋がっているんだよ」
「それはそうですよ。海なんですから」
「すごいよね、この波の一滴は世界のどこにでも流れて行けるってことだよ」
「どこにでも……」
「うん、どこにでもだよ。ヨーロッパやオーストラリア、アメリカや中東にも」
「そうですね……」
「人間は本当に愚かだよね、今この瞬間も戦争や争いを続けてる」