青春の風
 
「咲良先輩……」



まだ夏には少し早いけれど水泳部はそうは言ってられないのか、プールにはキラキラと綺麗な水が張ってある。



それを見つめたままの咲良先輩が少し困ったような声を出す。



「彩乃ちゃんかぁ」



「あのっ、昨日のことですけど……」



そう切り出した私に、咲良先輩が初めて振り返った。



「座れば?」



優しい爽やかな笑顔で、隣の飛び込み台を指す。



断る理由もないので、頷いて私も座った。
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